恋をした、朝まで遊んだ、全世界に見つめられながら。
お薦め度:★★★★
少女から大人の女性へ。
今までいくつかのマリー・アントワネット像を見てきましたが、この作品が一番人間であったことを感じさせました。
ソフィア・コッポラは『ロストイントランスレーション』がちょっといまいちだったのですが今回は私のスキルが上がったのか、監督の魅力を理解することが出来ました。今なら『ロストイントランスレーション』も理解することが出来るかな。
この監督は「なんでもない」風景を「なんでもない」ようにあるがままに撮るのが上手いのですね。
特に彼女が最初の子供を生んでプチ・トリアノンでおままごとのような田舎暮らしを楽しむシーンは、こちらにまで清浄な空気が伝わってくるような感じがして、マリー・アントワネットの心の平安さを共感できました。
とかくマリー・アントワネットというと浪費と自由奔放の象徴、そして断頭台の露と消えたうら若き女性と言うイメージが付きまとって離れないのですが、この作品では少女から大人の女性、母親になる成長物語を見ることができました。
マリーアントワネットといえば代名詞は「浪費」。浪費や火遊びを楽しむ時には現代ロック調の音楽がバックに流れるところが面白い。仮面舞踏の夜会なんて今で言えばクラブ。優雅なクラシックでは彼女が感じたであろうスリルやときめき感を表現できるものではありません。また浪費にしても過去二あるような批判的な狂乱さはなく、買い物をするときの楽しさを女性として共感できました。一万円なら一万円、百万円なら百万円、二万ルーブルなら二万ルーブルなりに女の子って買い物を堪能できるものですから。
客観的に見たら民衆は貧困に喘ぎ、圧政に苦しんでいたのかもしれませんか今回の作品ではその問題には一切言及なし。どうも彼女の浪費だけ国費を圧迫していたかのようにとらえられがちですが、アメリカへの軍事介入もその原因であったことがわかります。
悲劇のヒロインではなく彼女も王政の中に生き、無理解に翻弄されていたのではないのだとこの作品を観て思います。
オーストリア王家の末娘として生まれ、フランスのしきたりに戸惑ったにせよ、彼女は国策の一環として嫁いだことを充分に理解し、面識も無い王子を結婚をし添い遂げる努力を払っていました。この場合ルイ王子が今ひとつ女性に興味が無かったのが、彼女としては悲惨でしたが…今現代としてはそんな人もいるよね、と理解出来ますが、当時、ましてや時期王位継承者としては許されることでは有りませんね(苦笑)。
そんな風に錠前作りや狩りにばかり夢中な王子でも王になり時が流れるにつれ、責任感やマリーを想う気持ちが生まれてくる点は私には新たな発見でした。恋とか愛とはまた違う、そして決して打算ではない、王としての責任感で結ばれた二人。
庭に暴動が吹き荒れていても普段と変わらない朝食風景を描く彼らは政治が民衆の批判を浴びようとも、そのことによって命が失われようとまさしく王であったのだな、と思います。
パリを脱出するその日。18歳の誕生日と同じ朝日の風景に「さよなら」を告げたマリー・アントワネット。
彼女の目に最後の朝日はどのように映ったのでしょうか。
…蛇足。流石に王家で使われるだけあってどの馬も素晴らしくてうっとりでした。もう!本当に!!素晴らしい脚上げ!!!脳が痺れるかと思いました。
日本公開日:2007/01/20
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【ストーリー】
18歳でフランス王妃という最高の栄誉と贅を手に入れたマリー。しかし、実際は24時間とりまきに囲まれて生活する、不自由な毎日だった。プライパシーは一切なく、国内だけではなく、全世界の注目を浴び、世継ぎ問題、スウェーデン伯爵フェルゼンとの忍ぶ恋など、言動すべてがゴシップのネタにされていた。
【原作・ノベライズ】
【スタッフ・キャスト・他情報】