「オペラ座の怪人」について思うこと3【スポンサー広告】【映画よもやま話】
PICO*THEATRE分室ブログ
サイトブログ「オペラ座の怪人」について思うこと3

▲スポンサーサイト

--/--/--  (--) --:--| スポンサー広告編集

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

▲「オペラ座の怪人」について思うこと3

2005/02/22  (火) 08:20| 映画よもやま話編集

最終回の今回は(連載だったのか)私の映画師匠の感想も織り交ぜてお話ししたいと思います。
私以上に突っ込んだところが不満だった様です。曰く「音楽家としてのファントムが描かれていない」のだそうで。私は舞台版もそこはすっぱり切ってあると思ったから別に何も思わなかったのですが…。流石「音楽こそ本当の趣味」と豪語するだけのことはあります。

「私の音楽に翼を与える」というセリフからスイッチが切り替わってしまったようです。

正直なところ、「ファントム、ジリーとくっつけばいいのに…」と思います。
虐待され蔑まれていた「化け物」を哀れに思い、救ったのはジリーです。彼女こそ、ファントムを人間としても、芸術家としても認めている唯一の人間です。

では何故唯一親切にしてくれるジリーではなく、顔を見て恐怖におびえるクリスチーヌに彼が拘るのでしょう。
自分の醜い顔を嫌って捨てた生みの親よりも、ありのままの自分を受け入れてくれ、(良くも悪くも)自分のしていることを咎めないジリーを彼は(想像の域ですが)育ての母親のように思っているのでしょう。しかし彼女は彼の音楽を歌うことはできません。

これこそファントムがクリスチーヌに拘る理由です。ファントムにとってクリスチーヌは初めて好意をもち、自分のことを理解してほしいと願う女性です。まだ花開いていない才能を見出す。「彼女だけが私の音楽に翼を与える」と。

彼は地の底で世間に見捨てられ虐げられた存在だと絶望しながらも、地上の世界に憧れてやまない。自分が受け入れられるような存在ではないと思い知らされてもなお、彼は地上世界に受け入れられることを夢見ている。

ファントムは彼女の才能に恋をしている。

オペラ座の上でラウルとクリスチーヌの愛の語らいを聞き、自分が蔑ろにされたと感じたファントムは数ヵ月後の後マスカレードで再び彼女の前に姿をあらわします。
スコア「ドンファン」を携えて。

「ドンファン」は明らかにファントムとクリスチーヌの関係を示唆し、彼女の才能を前提に書かれた音楽です。
これはクリスチーヌをどれほど理解しているかの彼の証明であり、同時にこれまで築いてきた二人の絆の強さを訴えるものであるのです。

ファントムにしてみれば、最近現れたラウルよりも自分の方がずっとクリスチーヌを理解し、深い絆が結ばれている自信があるはずです。それをクリスチーヌに思い起こさせるための「ドン・ファン」だと思います。


音楽家にとって音楽は人生の全て。
ラウルの持つものが「財産・名誉・顔・性格」等であるのに対し、ファントムは「音楽の才能」です。世間とは交流をしてこなかったファントムにとって芸術、ことに音楽は彼自身の全ての価値観を支えます。
ファントムとしても自分がラウルよりも「財産・名誉・顔・性格」の点が勝っているとは思わないでしょうが、何よりも「音楽の才能」だけには自信があるでしょう。

「アマデウス」をご覧になった方はいるでしょうか?
サリエリはモーツァルトの「音楽の才能」に嫉妬します。モーツァルト個人の下品さを憎みながらも彼の音楽を愛さずにはいられない。モーツァルトの口述を五線譜に書き留めるサリエリは、モーツァルトを介して至高の幸福を感じます。

クリスチーヌの葛藤もそこにあると思う。
彼女もオペラ座に所属するもの。芸術の信仰者の端くれです。最初は亡き音楽家の父を偲んで音楽芸術の世界に入ったのかもしれませんが、音楽そのものを愛するようになっている。
ファントムが父親が送った「音楽の天使」ではないと知り、醜い顔に怯え殺人に恐怖を覚えながらも、ファントムに思いが残るのは音楽を愛しているからです。


ファントムがドンファンの扮装をして現れたとき、予測していた彼女は即座に気付いたはずです。それでも「ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン(ショウは続けなくてはいけない)」。

そうして歌い続けている時にクリスチーヌは悟るはずです。
これこそファントムの魅力であることに。この瞬間、ファントムの背後に見ていた父親は消え、彼自身を、彼の音楽を純粋に愛している。彼とのユニゾンはどれ程「音楽芸術の恍惚の域」を感じ、愛(信仰)を再確認させたか。

それはファントムも同じことでしょう。彼の音楽に翼を与えて、高らかに歌い上げる彼女自身を、その歌声を愛している。
オペラ座の舞台で歌い、喝采を浴びるクリスチーヌを見たとき、その時こそ彼は自分が理解されたと感じることが出来る。彼の音楽がクリスチーヌによって歌われ、世界中がその調べに耳を傾ける時、彼はようやく世界に振り向いてもらえるのです。

この瞬間だけはラウルには決して入ることの出来ない、音楽の神を崇拝する者同志の交歓です。


結局はクリスチーヌはラウルを選び、ファントムの元を去ります。ファントムよりもラウルを深く愛してるからです。
去り際にクリスチーヌは指輪をファントムに渡します。ここの意図は私には良くわからないのですが、ラウルとの愛の証の指輪=一人の女性としての愛の幸せの象徴を渡すことは、ファントムに対して多少なりともそういう感情があったことを彼に指し示しているとは思います。

でも私はその演出にひどく打ちのめされます。ファントムがクリスチーヌに与えた音楽よりも、ラウルがくれた指輪の方を大切に思っていることが見て取れるからです。
ファントムが理解して欲しいと書き上げた音楽は、クリスチーヌの心に響かなかったのか思うとどうにもやるせない気持ちになります。

ファントムが望んだのはただ彼自身が愛されることだけではないと先に述べました。
彼が望んだ愛は結局、クリスチーヌの望む愛とは相容れなかったから彼女はラウルの元に行くのですが、それは別にかまわない。哀しいけれど。愛情がある方に行くのが当然とは私も思います。

ただ彼が望んでいなかった(さすがに全くではないとは思うけど)形の愛の象徴である指輪が渡されるのがどうにもやりきれないのです。出来ることなら、彼に与えられた音楽を愛する彼女が見たかったのです。

「私が愛したことを覚えていて」といって指輪を渡すクリスチーヌではなく、「あなたが愛してくれたことを忘れない」といって、彼の音楽を歌い続け、世界に響かせてくれるような彼女であって欲しかったのです。
もともと打ち捨てられた子供であったファントムにとっては、愛されてもその愛を手にすることが出来なかった一生だったと言う記憶が残るより、彼の音楽を愛し、歌い継いでいってくれた方が慰められるように思うからです。

…と長々書いてしまいました。
そしたらこんな記事を発見しました。

ロイド=ウェイバーは「クリスティーヌがファントムに惹かれるのは、彼が危険そのものだったから。」と話している。
引用先



だって!!
…「才能」どころか「父親の影」でもないのかよ…わしらがアホみたいだ。

【関連商品】
こちらこそ
逆TBありがとうございました。
そちらも丁寧に書かれていて大変興味深く拝見しました。
これで最後とか書いてますが、本館用にまとめたら追記がでてしまって…次回で最後にしたいと思います。凹むので。
考えれば考えるほどファントムが気の毒でなりません。
2005/02/27(日) 22:36:03 * * かなで@管理人 #XAjl2.RA[編集]
TBありがとうございました
個々の環境や経験やらでホントにたくさんの感想が聞けて面白いですね(〃∇〃)
かなりハマってる派ですが・・^^;
他の記事もゆっくり読ませていただきます♪丁寧に書かれていてとても楽しみです♪
2005/02/27(日) 21:12:58 * * nicoco #64owOXpE[編集]
改めてこんにちは。
だらだらとウザイ長文を読んでいただいてありがとうございます。TBもありがとうございます。お返しさせていただきます。
>わざわざ日本語
ああ畜生、英語のわかる方のご意見ですな。
私の師匠も「日本語の歌とかモンゴロイドのクリスチーヌなんて見たくない」といいます。
だって生粋の日本人なんだもん勘弁してよう…。
そんな彼女が私に最初に言った感想がこれ。
「私は市村ファントムは知らないから思い入れが無いし、オペラ的な歌い方は好きじゃないから(でもオペラは行く)ファントムは違和感はなかった。ただ、エミーの声がなあ…下手じゃないけど、いきなり大抜擢される程の美声じゃないよね。っていうかサラ・ブライトマンは上手かったなあ」海外版を聞くとそっちに行くのか…。
私はもう最初から字幕は要所要所しか見ていないので、あんまり覚えていません。いっそ、四季版のスコアと同じにしてくれればいいのにー、なんてアホなこと考えていたくらいですから。ただ二重奏部分とかって翻訳するの本当に大変だな、と。
エミー・・・友人から「歌が上手いという理由での抜擢なんだから演技まで要求するのは酷だ」とも言われました。普通の映画のように「瞳で雄弁に語れ」とは言いませんが…「ドンファン」と「私の心のキス」は本当にもう一寸何とか。
特にキスのほうは「そういえば舞台のときもこんな”がっつり”したキスだったなあ…こんなにアップなのに舞台演技でいいのか?」と思いました。舞台演技と映画演技は違うでしょうに…。
上映前に見た記事でALWが「舞台ではファントムとクリスチーヌの関係が父親と子供の関係のように描かれているが、映画では年齢を近くして恋愛のように描きたい」といっておりました。でも年齢が近いって単に若作りしているだけでしたからね…。
で、セリフや歌詞が恋愛を強調されてるように修正してあるかというとそうでもないし。
舞台版がベスト、とは言っていますが別にその通りじゃなくても良かったんですよ。むしろ新しい解釈・映画ならではの演出を期待していました。ファントムの魂をほんの一寸でも救ってくれよと。指輪をさしだすのならもっと思いやりのキスを、そして鏡を叩き割るシーンを無くしてくれれば救われたのにな。
演出ももっと派手に!と思いました。舞台での人が本当に演じている臨場感が無い分派手さで観客を圧倒してほしかったです。マスカレードのシーンも師匠曰く、「衣装がモノクロが基調で地味。舞台なら群集をモノクロ、ラウルとクリスチーヌを派手な衣装にして二人を際立たせるので正解だけどさ。カメラでアップに出来るんだからそんなことする必要ないんだっての…と思っていたら本当に二人が派手な衣装で出てきたのでうんざりした」らしい。
>ファントムは「危険」なもので、若い女の子はそこに惹かれる。らしーです・・・
いやあ私は若くないのでそんな「危険」には惹かれません。(笑)
それではベタベタ学園マンガのマドンナが番長に惚れるのと同意です。
ALWからしてそれでは「音楽の才能」が描かれていないのも当然ですね。ないものねだりでしたかね。せめて彼女の墓石に「よき歌手」と彫られていたならば慰めになったんですけど。
…貴方だって音楽家のくせにーーー!サラ・ブライトマンの才能を見出した人のくせにーーーー。
2005/02/22(火) 21:43:15 * * かなで@管理人 #XAjl2.RA[編集]
そーなんですよ!ALW、そりゃないでしょ・・
またまた出てきてすみません。
最後の一文を読んでどうしても・・(^^;
ALWによれば、ファントムは「危険」なもので、若い女の子はそこに惹かれる。らしーです・・・(日経エンタテイメントかFlixサイトのインタか何かに載っていました)
でもって、ファントムは「sexuality」なんだと。
そりゃ・・ジェリー・ファントムは確かに色気ありましたけれど、それで片付けられちゃぁ、「ただの狂人だ」で片付けたラウル並になるじゃないかよぉ!
と不貞腐れてしまいました。
「The Point of No Return」はラウルが入れなかった「2人の音楽」だったのに・・
結局、クリスティーヌは音楽を選ばなかったのね。と思います。映画版に限るかも知れませんけれど。 マイケル・クロフォード版「The Point of No Return」はジェリーちゃん版ほど雄の魅力はなかったような・・(歌を聴いてるだけでは)
なんにせよ、ALWの語る舞台裏を知ると、映画「オペラ座の怪人」はきっと彼が作りたかった「映画版」なんだと思いますよ。
ほら、舞台じゃ若い女優は使えないのと同じで・・・・
2005/02/21(月) 23:55:36 * * alex #gJtHMeAM[編集]

トラックバック
この記事へのトラックバックURL
この記事へのトラックバック
「オペラ座の怪人」★★★☆エミー・ロッサム、ジェラルド・パトラー出演ミュージカルには基本的に押さえておかないといけない部分がある。普通の映画のつもりで見に行くと、急に歌いだすという違和感を引きずることになるからだ。自分の心情を歌に...
* soramove * 2005/04/05(火) 23:33:00
映画「オペラ座の怪人」一覧       ① 1924年版 記事はココ② 1943年版 未③ 1974年版 未④ 1989年版 未    ⑤ 1990年版 今回⑥ 1998年版 記事はココ⑦ 2004年版 記事はココ※各映画の詳細情報はココ ⑤1990年版
* ◆Ahaha堂おばはん本舗◆ * 2005/02/27(日) 22:33:03
The Point of No Returnで落ちる理由・・・3度目の愛着その1
* CinemaCoconut * 2005/02/27(日) 21:07:33
あまり粗筋を知らず 楽しみにして観に行って来た  オープニングの廃屋の情景が一気に彩色されていく鮮やかさ!  舞台の幕が上がっていく高揚感を味わえた  なんて大勢の登場人物たち  カメラが映していく一瞬の場面の隅々にまで役者の予定された動きがある  開幕
* 華やぐ時間 * 2005/02/27(日) 17:39:11
昨夜、3回目、レイトショーで観てきました。シネコンには、新作がいくつか、かかっていたけれど、やっぱり他の作品を観る気には、ちょっとなれないな。サントラを十分に聞き込んだので、耳馴染みの曲の場面は、感動の嵐。英語の歌詞にも、一度目を通しておいたので、けっこ
* distan日誌 * 2005/02/27(日) 11:58:45
 
 
 
 
 
検索一覧
詳細検索
ブログランキング
ブログピープル
フリーエリア
ブロとも申請フォーム
 
 
 
 
ブログ内検索
最近の記事
カテゴリー
RSSフィード
検索条件一覧
 
 
 
 
 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。