ゆれる の兄弟【スポンサー広告】【映画感想】
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▲ゆれる の兄弟

2006/08/30  (水) 00:33| 映画感想編集

映画ゆれる」のレビューにたいしてカネシゲさまから、立派なコメントを寄せていただきました。

拝見して、私も補足的に色々思うことがありましたので、ここで改めて返信も含めて追記させていただきます。

>>08/30追記



私がよそのサイトさんで拝見した意見として、妄想を具体的な映像として呈示することはどちらが真実かが曖昧なものとなってしまうため良くない、と仰っていました。私もその点は同意見です。サスペンスとしてあれはよろしくない。
しかしこの監督のインタビューを読むと「観客にあまりサスペンスとして意識してもらいたくなかったのでそうならないように気をつけた」と仰っているのであえてあのような手法なのかもしれません。

以下、根拠について私なりの意見を述べたいと思います。

1. 兄の二の腕の傷が何度も最初と最後に映し出されていたが、やはりこの事件を解く鍵として作者側から我々に提示されていたのだと思う。



腕の傷は、最後に登場して「この傷は彼女を救う為に出来た傷だった」としているようですが、個人的には説得力にやや欠けるような気がしました。例えばあの傷は「彼女がすがった手を振り払った際に出来た傷」としても問題ないきがする。

2. 弁護士が実地調査して、弟がいた場所からは橋の上の会話を聞き取ることは困難であることが示されている。従って、女性が「母さんのようにはなりたくない」と言った言葉が弟には聞こえるはずはなく、少なくとも音声部分については弟の妄想。又、弟は花の写真に夢中になっていたことからも、やはり実際の落下を目撃はしていないことがうかがえる。



ここはちょっと意見が分かれますね。私は実際見ていたと思います。そして、弟からは吊り橋の上の会話は聞こえていたかもしれません。
弁護士の実地調査でも、吊り橋の上の助手の声は弁護士(側の私達)には聞こえますが、助手には全く聞こえていないようです。吊り橋の上は濁流の轟音で聞こえないのかもしれません。

3. 前半部分で弟が兄の嘘に気付いていたという雰囲気は感じられない。慕う兄の無実を証明しようと純粋に必死になっていたと受け取れる

4. スタンドの店員の願いには無頓着だった弟が、8ミリを見て、兄が自分に手を差し伸べるシーンを見て心変わりする根拠は、やはり自分の妄想に気がついた、というのが一番自然だと思える。



この3.4.はもっとも重要な点ですね。
ただ、ここで客観的事実を考察してみても、弟がその現場を目撃してどのように判断したか。それだけがこの(「作品」ではなく)刑事訴訟「事件」の要です。事実はこの際弟の心境をメインで語られている以上、どうでもいいことです。
彼は「意図的でない事故」の現場を目撃した、しかし彼には兄への負い目があるためにそれを「意図的な事件」と誤認をし、なんとか「事故」として決着をつけようとする。

しかし、精神的に不安定になってしまった兄は自白とも取れる発言をし刑事訴訟へと発展する。「事故」として穏便に収めたい弟は弁護士である叔父に金を積むなど東奔西走する。

■兄の心境
弟は「事件」を「事故」として済ませようとしている。
対して兄はどちらでも良いと思っている。どちらにせよ彼女を救えなかった事実は彼に取っては彼女を見殺しにしたと同義ですから、その罪を償う為に本当の真実から眼を背けている。そんな兄が何故周囲が望むような発言をしたのか。その心変わりは何がきっかけだったのか。

私の想像の範囲ですが、あれは「周囲の期待」に応えたのでしょうね。自分は本当は無実だとか、刑務所は嫌だとか言うことではなく。周囲から「お前は無実だ。私達はそれを信じている。だからお前も頑張れ」といわれたら、その「頑張れ」に応えるしかあの従順な兄には選択肢が残されていないのです。

幸か不幸か被害者の唯一の肉親の母親は、彼を手ひどく糾弾することもない。(この辺がこの作品のあざといところだなあと思うんですが)

話は飛びますが、今世間を騒がせている秋田の子供連続殺害事件に関して最初の事件の際、警察の人が「事件よりも事故のほうが、お母さんも心が痛まないでしょ」といわれ憤慨した、というエピソードがありましたね。どっちにしても、死んだのだから心の痛みは一緒。それは確かに沿うでしょうけれど、これが立派な成人の場合またちょっと状況が違うのかな、と私はこの作品を観て思いました。
母親は「あの子は殺されるほど悪い子だったのかしら」といいますよね。殺される対象になるほど憎悪を向けられる人間だったと思うよりは、事故として死んだ方がこの場合遺族としては心が乱れないで済むのかもしれませんね。…話を元に戻します。

父も従業員も弟も、自分が無罪であることを願っている。その願いに応えるために彼は真実を見据え、証言する選択をしたのです。言い訳がましい自己弁論を並べ立てる。とても辛い心境だったと思います。

■弟の心境
憎からず思っていた智恵子は自分(の想いを知っていたにも関わらず)を裏切った。図らずも弟と通じることで。彼はそのことをうすうす感じていたし、そのためのカマもかけてみた。(智恵子酒豪の話ですね)渓谷に行く前から二人の関係を知っていた。

中盤、検事にそのことを指摘されます。ですが兄は智恵子と通じていた男性が弟だとは一言も言わなかった。言う必要もなかったといえばそれまでですが。別に弟と言わなくても、そんな人がいたことはうすうす気がついていました、と言っても良かったはずです。
ここで、知っていたのにさも「指摘されるまで知らなかった」と大げさに演じて見せたのは何故か。

私はあのシーン、弟からしたら「シラを切りとおす」姿は、さぞや気持ち悪く居心地が悪かっただろうと思いました。何故そう思ったか?
兄は弟が裏切ったことを知っているし、弟は弟で、兄を裏切ったという気持ちもさることながら、兄がそのことを知っていると自覚している。

弟の態度はどう見ても兄は「有罪だけど」何としても(オレの力で)「無罪にしてみせる」気合満々です。弟には「兄を信じてやる」という気持ちは全く無い。そんなこと二十余年も生活を共にしていれば何となく判ります。

弟が裏切り行為をしたことを知りながら、(その本人もばれていることを知っていながら)無かったことにしようとする兄の行為。
兄が事件を起こしたと知りながら、事故としてごまかそうとする弟の行為。

ここはある意味、逆転の構図ともいえますね。

あの手の長子にとって、報復の手段ははなんだと思いますか?
周囲の期待を裏切ることです、自分と同じ気持ちを相手にも体験させてやることです。
「シラを切りとおした」兄の行為は彼なりの弟に対するささやかなる報復であったと思います。
よかったら『ヘイフラワーとキルトシュー』見てね。その辺が非常によく描けているので。

何ともいえない複雑な気持ちになった弟にとって、無罪放免になったときの夢を嬉々として話す兄はこの上もなく奇怪な存在に思えたことでしょう。実際弟の側から見た私達がそう感じたのですから。
本当は有罪の癖に何も無かったことの様に将来のことを話す兄なんて、今まで見たどんな兄の姿とも違っているのですから。片や、兄の方からすれば弟はほとほと鼻持ちのならない人間に思えたことでしょう。自分の無罪を信じてもいないくせに、信じたふりをして救世主を演じる血のつながった兄弟を。
兄からすれば事件にしろ事故にしろ、本当に心の底から「兄ちゃんは無罪だ!」と言って欲しいのですよ。己の保身や、社会の建前や、冤罪になろうが、そんなことはどうでもいいのです。
そんな上っ面の馴れ合いで「無罪」とされるくらいなら「あれは事件だった」と本人が思ったとおりに言ってもらったほうがいっそすっきりすると思います。

…うーん。こうやって考えてみるとかなり両者の心境が私なりに理解出来たように思います。
そう思うと7年は馬鹿げた絶縁期間でしたね。

■補足
現実問題として、たった一人の目撃証言だけで、あっさりと有罪に傾くとは思えませんし、諸般の突発的な事件として、7年はちょっと長いと思います。「嫌われ松子の一生」の松子さんなどは、情夫を包丁で惨殺の上逃亡の上捕まっても7年ですからね。
普段、年老いた父親の面倒を見ながらスタンドを切り盛りしていた人のいい人物ですから、情状酌量が有っても言いと思います。

監督はこの物語のきっかけは「後味の悪い夢」を見たことがきっかけだったといっています。後味の悪い夢とは一体どんな夢だったのでしょうか?自分の好きだった人を突き落とす夢?自分の肉親が刑務所に入る夢?兄弟喧嘩をして永久に決別する夢?
監督がその夢にこの作品でどう決着をつけたのか。私には判らないままです。

突発的に書いたので、文章が重複していたりおかしかったりしたらすみません。後日遂行の上、サイトに長文補足として追加したいと思います。

ちなみに【ここ】はネタバレなことを記述している際に使用しています。反転してもらうと読めるようになっています。一応最後のシーンに関しては言及してしまうとこれから見る人の楽しみを奪ってしまうかなと思いまして。

それにしても、楽しかったです。
またよろしければ訪問してドンドンコメントしてくださいませ。



08/30追記

監督としては、兄弟のゆれる心情を見て欲しかったので必要以上にエンタメ(サスペンス)に偏らないように注意したとは言っていました。

個人的理論の展開をさせていただけるのならば、おそらく兄は意図的に突き落としてはいないと思います。それを弟は目撃していた。それなのに何故前半は目撃していないと主張し、終盤になって意図的に追い詰めたと証言したのは何故か。

>兄を無実の罪に落してしまうような証言を自分の妄想や思いこみだけでするものなのか
すると思います。
目撃証言において事実誤認が生じることは非常に良くあるケースです。交通事故において互いに青信号だったと主張するのはしょっちゅうですし、どちらにも利益のないはずの第三者でさえ、どちらの方向から走ってきたか?というような質問にまったく正反対の証言をすることはざらです。(この辺は経験済み)
弟としては兄に激情に駆られても仕方が無いことをしたという後ろめたさが、もしかしてあれは意図的だったのでは?という迷いがあったのだと思います。だから、事故として落ちたのを見たと主張せずに、現場を目撃しなかったと言い張っているのです。もし、本当に兄が無実だと信じるのなら、その状況を見ていましたと主張すれば裁判は必要以上に長引くこともないのですから。
また途中途中に挿入される吊り橋でのやり取りは弟がその場面を何度も何度も思い出しているのを表現しているのではないかと。

腕の傷に関してはおっしゃるとおり、吊り橋のシーンで弟が駆け寄った直後と、終盤の子供時代の8mmテープをみて真実を思い出した際の2カットで写されています。
これは私の想像なのですが、最初にこの傷を見た時弟は何の傷なのかわからなかったのだと思います。真実を思い起こした時にクローズアップされるのは、「あの傷は、落ちそうになった彼女を救おうとして出来たものだったんだ!!」と事故=無実だということを確信し、愕然としたからだと思います。

【関連商品】
追記しておきました
一応「ゆれる」に関することは、追記という形であげておきました。

ローカルなお話とは一体?
出切ればそちらからメールいただけるとありがたいのですが…。
2006/08/30(水) 00:36:34 * * ピコシアタ #XAjl2.RA[編集]
ピコシアタさんこんにちは。
いやー、力作を拝読させていただきました。ありがとうございます。
こういう議論を喚起するために意図的に真相をあいまいにしておいた、というのであれば西川監督の読みが深いということなのかもしれません。しかし、私のような細部にこだわって白黒つけないと落ちつかない人間にとっては、やっぱりどうにかしてほしかった気分ではあります。
他の色々なサイトを見てみますと、ピコシアタさんの考察のように、「弟=兄が意図的に突き落としたのを目撃した」説の方がメジャーのようでです。曖昧な目撃者が警察の誘導で間違った証言をしてしまう、というのなら有り得ますが、兄を無実の罪に落してしまうような証言を自分の妄想や思いこみだけでするものなのか(もししたのなら、精神病じゃないのか)、とか、7年後のラストシーンでの「兄ちゃん帰ろう」というセリフ、なども考えるとこちらの真相の方が説得力があるのは確かなようです。しかし、私としては依然としてあの二の腕の傷にひっかかっており、「弟=何も目撃せず。兄が故殺したという証言は妄想」説を棄てきれません。確か記憶では腕の傷は、事件の直後に吊橋の上の兄に弟が駆け寄った時、さらにもう一度どこかで映し出されて、最後に8ミリの場面で映されていたと思います。あの傷は引掻いたりつねったりして出来たものではなく、みみずばれのように(しかも最後のシーンでは二本平行に、だったか…?)なっていたので、つかんだ彼女の腕が徐々にずれ落ちる時に爪が食いこんでできたものなのではないか、と考えてしまうのです(DVDが出たらレンタルでもう一度確認したいと思います)。わざと突き落としたのであれば、彼女の腕をつかむ事は不可能なので、傷を何度も映したのは、腕を捕まえた=落ちたのは事故、ということを監督が暗示したのではないのか…?。(それとも、傷が何度も映されたこと自体が私の妄想??うーん、なんだかさらに分からなくなってしまったのです)。
いずれにしても、もう少し真相を導き出せる具体的な確証を映画の中に挿入してくれよー、監督さーん、と言いたいところです。もし映画のテーマは「兄弟の心のゆれ」、であって、真相究明にはこだわらずに、「心のゆれの描き方巧妙さ」だけに着目して鑑賞せよ、と言われるのなら、そりゃー監督殺生ですよね。

【】はネタバレになるので反転させないと読めないようにしたご配慮だったのですか。恐れ入りました。

ここはあくまで「ゆれる」の作品のページなのでローカルな話しは差し控えたいと思いますが、映画の一般論的なことについてご意見を聞いてみたい気がしますので、差し障り無ければメールをお願いします。
2006/08/26(土) 23:29:44 * * カネシゲ #-[編集]

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